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| 評伝川島芳子 | 840 円 | |
| 【予約】 愛新覚羅 王女の悲劇−川島芳子の謎 | 1,995 円 | |
| 男装の麗人・川島芳子伝 | 610 円 | |
| 妖花川島芳子伝 | 1,470 円 |

川島芳子の伝記としては上坂冬子のものがあるが、本書はそれに対する修正を含んだ「ノート」ともいうべきもので、「評伝」と銘打つほどのものではない。修士論文としてはこれでも良いが、「異性装」に関して最近の西洋の論文など引用するのは不適切で、むしろ当時のモボ・モガ風俗との関係で考えるべきものだろう。「鬱屈とした」など、日本語がおかしいところもある。全体として新しい発見があるかどうか。東大の修士論文としては標準的な出来であろう。
川島芳子は、「男装の麗人」と」してセンセーショナルに扱われた。
そのため、実像が見えなくなっているところが少なくない。
清朝末期の14王女でありながら、日本人川島浪速の幼女となる。
当時、満州国建設に絡んでいた浪速とともに中国を行き来するするうちに、
芳子も関東軍との関係を深め、その活動に強く関与したとされる。
その結果、戦後、国民党に逮捕され、昭和23年、処刑される。
本書は、芳子の波瀾万丈の人生を、もはや少なくなった修験や資料をたんねんに積み重ねることで浮き彫りにしていく。
煽るような書き方もしていない。
それはおそらく著者が、まだ20代のシンガーソングライターで、
日本が戦争をしたことぐらいしか知らなかった――と書いているように、
まったく白紙の状態からデータを拾い集めたからだろう。
個人的にはもう少し著者の「意見や主張」を出してもよかったという気がないでもないが、
そもそも「あの戦争」に関しては、今、こうやって淡々と事実を積み重ねたほうが迫力が出るし
説得力もある。
決してワイドショー的にはならず、三流週刊誌のようでもなく、
妙な政治的バイアスもかかっていない。
重く受け止めたい本である。
川島芳子.この清朝末期の王女でありながら,日本人川島浪速の幼女となり,後に漢奸として中国にて処刑される女性の生き様は,実に波乱万丈だ.幼少時より浪速の影響もあり清朝再興をのぞみながら,16才のころピストル自殺を試み(その養父に強姦されたためとの説),アルバイトのためヌードになったかと思うと,髪を切って男装,さらに大陸に雄飛し行軍や満州建国に参加する.自由な現代でも,これほど強烈な人生を生きる女性はまずいないだろう.
本書は,そんな川島芳子の内面の葛藤を,あくまで学術的な視点から掘り下げて描いている良作だ.著者の寺尾紗穂がシンガーソングライターという異色の経歴を持つ若い女性であることにも興味を惹かれるが,そんなことは無関係に思えるほどの力作に仕上がっている.内面に光を当てている分,川島芳子の行動面の記述が薄くなっているのは惜しいが,いままでのテレビ的解説に物足りなさを感じている読者には特にお勧めだ.
さまざまな関係者の営業上の理由でしょうか、真実と創作の区別がつかなくなる形でしか記憶が維持されることのない川島芳子です。しかしこの作品には脚色や誇張はありません。後代の奇妙な概念操作によるフェミニズム的鋳型へのはめ込みの作業も注意深く避けられています。著者は丹念に数少ない資料と残り少なくなった関係者の証言を積み重ねていきます。資料が見つからない時期については、あえて想像を広げることなく、数少ない事実を当時の文脈の中に限定的な形で整理するだけで、それ以上の論理の飛翔は注意深く避けられています。「モノクローム」の時代の描写にはそれがふさわしいのかもしれません。浮かび上がる真実は、政治の道具としての運命を、生まれたときから与えられた主人公の姿です。その実像は、日中満での永遠の寄生者としての生活です。政治が正統性のかけらを必要とする限りにおいてのみ、そのparasiteとしての存在は意味を持ちます。それ以外は、モダンという時代性を象徴しながらもすべて非生産的な非日常への模索です。その模索の果てに待ち受けていたのは、国民党による「漢奸」としての抹殺です。もうひとつ浮かび上がるのは、社会的な人体実験の失敗です。清朝のお姫様を日本で育てることにより、「日中間の架け橋を作り出す」という明治の大陸浪人と中国のアナクロニストの想像上の組み合わせが作り出した実験が、20世紀初頭の東アジアの政治情勢の中でもたらしたのは、最後まで現実性に欠ける奇妙なひとつの不幸の形でした。ただひとつこの人生の中で現実性を持つのは、国民党による政治裁判だけだったというのは皮肉です。ただひとつ著者が作者としての想像力を垣間見せるのは、芳子の和歌の解釈です。


満州事変のころ日中を股にかけて活躍した男装の麗人、川島芳子の一代記。
この本が出版されたころ、まだ芳子の同母兄憲立氏や姪御さんが存命しており
その証言が多数載っている。
あと、芳子と縁のあった笹川良一氏の回想も掲載されている。
一番の特筆は晩年の芳子の秘書、小方八郎さんの詳細な証言だろう。
とにかく本当の芳子さんを知ってもらいたいと著者に語る姿には心打たれる。
芳子の兄憲立氏もまたしかり。
他の芳子伝と大きく違うのは彼女が終戦後逮捕された後の法廷闘争に
多くの紙面を割いている事。
芳子を救おうとする小方さん憲立さんの苦闘と二つの祖国に見棄てられた獄中の中で
必死に生きようとする芳子。
涙がでるほど切ない女性の一生。
本当の彼女を知る人々は皆物故し、この本のみが残された。
・本書はノンフィクションである。川島芳子は、清王朝の最後の王族の娘で、日本人の養女になった(但し、正式に入籍はされていなかった)。その行動力から、日本軍側のスパイ的な活動を行っている(本心は清朝の復興にあったようだが)。ただ自ら小説のモデルになったことで、その行動が拡大解釈され、それが身を滅ぼす一因になったようだ。
・著者はかなり丹念に調査しており、等身大の川島を描いている。それゆえ、センセーショナルな面白さは今一歩で、少なくとも私にとっては李香蘭(中国生まれの日本人歌手で、後の参議院議員)の自伝の方が面白い。
・川島はかなり虚栄心があったようだ。しかし、一部の人間からはかなりの人望を得ている。入獄していた時には、かつての使用人から差し入れをたびたび受けている。元家庭教師は全力を挙げて助命運動を行っている。また、自分が苦境にあるときに元の夫のことなども心配しており、我がままだけの人物でなく、立派な面もかなりある人物でもあったようだ。
・なお本書には、若干私に気にかかる言葉遣いがあり、現代の中国人に感想を聞いてみたいと思った。
卒論で川島芳子について調べていたので、いろんな本を読みましたが、
これが一番詳しいと思います。
劇団四季の「李香蘭」にも、川島芳子が登場しますよね。
ただ、上坂冬子さんの文章がいまいちスッキリしないので、
読みにくかった。
本書を読まれる方は、「李香蘭ー私の半生」山口淑子も同時に読まれる
ことをオススメします。
川島芳子について知りたいなら、彼女についての最初のドキュメンタリーであるこの本は外せない。今は色々親戚の方々や記念室から新しい本も出ているが、この本の価値は下がらないだろう。
彼女は確かに犠牲者ではある。実際に当時の新聞を紐解いたことがあるが、戦時中は祭り上げて大きく取り上げながら、戦後3年して彼女が銃殺されたことを伝える記事は完全に他人事。同じ新聞とはいえ、何と言う無責任、いや、日本人の無責任さを感じる。よく、歴史に翻弄されるとか、過酷な運命とかいうが、要は無責任なのは彼女を利用した人間にすぎない。
犠牲者である面を強調したいあまりか、少々筆が鈍っている部分もあるが、これは当時入手できる限りの資料と証言を集めた貴重な本だ。
読み終わって印象に残るのは、彼女の作った歌の真摯さや、「あなたの故郷はどこ」と訊かれて答えた幼い芳子の、
「お母様のお腹の中」
という言葉だ。彼女は日中のはざまに捨てられ、まさしくこの子供の頃の答え通りの人生を歩むことになってしまった。彼女に興味をもたれた方には、是非一読して欲しい本。
素晴らしい!本当に素晴らしい! 私はアメリカでこの本と出会いました。こんな人間がいたなんて!この人はレズビアンで、中国の刑務所中でのインタビューで”男は嫌い。疲れるだけ”と答えたところは非常に印象に残っています。ノンフィクション本としては甘い所が多々あり、上坂氏の限界も感じざるを得ないが、とにかく題材がイイ!
今まで読んだノンフィクションの中でトップ3にはいる出来です。
Copyright 2008, トレンドウーマン